背骨はS字型〜その2

ニューヨークの解剖学の権威、エイミー=マシューとレスリー=カミノフ(「最強のヨガレッスン」の著者)のスタジオで数年間解剖学を勉強した後、私の生き方を大幅に変えることになる、ヨガチューナップ®に出会いました。2011年。すぐにピンときてマサチューセッツ州クリパルセンターでジル=ミラーとリリー=チャンドラ率いるヨガチューナップ®レベル1のトレーニングを受講。当時私は40肩、慢性の腰と股関節の痛みの真っただ中。トレーニング中に一度、こんなことがありました。練習中に私が全然腰を動かしていないのを見て、リリーが私のところに来て言いました。「きょうこ、どうして腰を動かさないの?」「え〜と、それは〜」リリーはしばらく間をおいた後、こう言いました。「痛いからでしょう?」その瞬間に私は堰を切ったように大泣きし始めたのです。

あまりにも長いことつきあっていたので、「痛いのが当たり前の状態」と認識した私は、体を閉ざすことで痛みを回避していました。体を感じないようにすることが、私ができる唯一の防御メカニズムだったのです。背中がアイロン台のようにガチガチになってしまうまで母親、またダンスとヨガの先生の言うことをよく聞く良き娘であり、生徒でありたかった。自分の体の声に耳を傾けることなんて一度もしませんでした。私の体は「自分を癒して。」と叫び続けていたのです。その認識とともに、私の体は大きく変わり始めました。1週間のYTUトレーニングの間ジルとリリーの導きで私は自分の痛みと向き合い、どうやって痛みを取り除くのか、自分で感じることを始めたのです。体の声に耳を傾けたときに私の体は劇的に変わり始めました。今では痛みを感じることはほとんどありません。それに、ありがたいことに仮に痛みが戻ってきたとしても他の人に頼らず自分でケアをする方法を身につけたのです。

人間の背骨は5つの部位に分かれています。首には頚椎が7本あり(C1~C7),胸部には胸椎が12本(T1~T12)、腰には腰椎が5本(L1~L5) 、仙骨には5本(S1~S5、仙骨と融合)そして尾骨に4本。健康な背骨は横から見ると、美しいS字状となっています。前に張り出した曲線は前弯(ロードシス)、後ろに張り出した曲線は後弯(カイフォーシス)と呼びます。

人間の背骨は長い年月をかけ、必要に応じて進化してきました。まず始めに我々の祖先が4本足で食物を探して這いずり回っていた頃、 前足で地面から上体を押し上げるために胸部に後弯が生まれました。次に食物を見つけるため、また天敵が接近するのを見れるよう、首を持ち上げたために頚椎の前弯が生まれたのです。腰の前弯は2本足で歩くため、人が下半身に負荷をかけられるように発達しました。腰の前弯は人間独自のものです。(「最強のヨガレッスン」レスリー=カミノフとエイミー=マシューズ著からの抜粋)背骨は実に何百万年もの月日をかけて体の重みを支え脊髄を守るように進化してきました。人体は背骨の曲線によってその重さに耐え、重量のバランスをとれるようにできているのです。私たちが歩いたり走ったりするときに、背骨はうねりながらその動きをサポートします。ほとんどすべての人間の動作は背骨の動きによって支えられているのです。背骨の動きが悪いと、体の他の部分がそのツケを支払わなければならないのです。

両親の背骨を見て、自分の背中が平坦なのは親譲りだな、と納得したことがあります。それとも文化的な影響もあるのかも?(私の親は第二次大戦中に育った日本人。まっすぐ立つこと、きちんとお辞儀をすることが大切だった世代の人たちです。)そんなフラットバックの私でも、背中のS字曲線を取り戻す方法があります。ヨガチューナップのエクササイズで私の役に立ったのは「背骨のうねり」です。これをクラスで教える時、ほとんどの人が背骨全体の動きを感じることなく生きているのに驚かされます。ヨガのクラスで「猫と牛」というポーズをする時、私たちは普段の動き方のクセをそのまま再現します。腰など動きやすいところを動かし、胸などの動きの悪いところはおざなりにするのです。しかし習慣通りに動いていては自分の体の盲点を見つけることはできません。YTU「背骨のうねり」を練習してみましょう。時間をかけて呼吸をし、背骨の動きを感じてみてください。動きの悪いところは覚醒させ、トレーニングし直さなければなりません。よく動くところがひょっとしたら痛みの震源地なのかもしれません。この練習によって背骨のS字型湾曲をより良く感じることができるようになるでしょう。YTUの練習で、自分の体をより感じて理解することができるようになるのですー誰のものでもない、あなた自身の体を、です!

 

私はニューヨークの自然科学博物館を訪れると、必ず恐竜の展示を見に行きます。何百万年もの時間をかけて進化してきた生物の構造と骨格を見るとまさにその変容に驚嘆させられますーそれでも全ての生物は本当によく似ている。恐竜も私たちも。そう思うとちょっと感動して目頭が熱くなってきてしまうのですー私たちはみんなひとつなんだ、と。

 

4 thoughts on “背骨はS字型〜その2

  1. Chika より:

    尾骨をたくしこむという言い方は、日本では多く使われているし私自身も使っていました。
    オンラインのKyoko先生のレッスンで、仰向けの背骨のうねりをやりました。その時ちょうど腰が変な感じがしていたのにレッスン後に違和感がなくなりました。
    キャットカウのポーズは、私は腰を反らせすぎてる可能性があるなぁと感じました。
    それからは仰向けの背骨のうねりをよく取り入れるようになりました。

  2. Masami Cardinal より:

    痛みがあると、思うように動けませんし、そのことが他の部位に自然と負担になったり、バランスを崩したり、痛みを感じる事がストレスになったりと良いことがあまりないですね。以前のKyoko先生の痛みはたいへんだったと思います。Yoga Tune Upに出会えてよかったですね。
    私はたまに決まって痛みが出てくる関節があります。痛みやケガは体にストップをかけてくれて、身体を休ませるか自分の行動を振り返る時間だと思っています。そんな時これからはボールを上手く使いたいです。
    人間の進化はとても素晴らしく、長い年月をかけて少しずつ変化を重ねて今に至っています。人間の前にずっとさかのぼっていくと、はじめの生物は何から進化し始めたのか?なんていえばよいのか分かりませんが、とにかく神秘的。私もロンドン郊外ですが自然博物館に行ったときは生物の骨格の進化の過程に目が釘付けになり、長い間眺めていた記憶があります。今後はテクノロジーの大きな発達につき人間の体は変化していくのか疑問ですが、退化しないように願いたいです。

  3. takako より:

    これだ‼︎
    「脊骨のうねりの練習」はとてもダイナミックで背骨が一つずつ動いている感覚があります。実際にまだまだ動いてません。「猫と牛」は呼吸に合わせていつも行ってますが、これからはうねりの練習も取り入れていきます。
    私自身も背中が硬く何年も腰椎、肩こりになやまされいます。
    わたしが苦手なポーズが仰向けになり股関節屈曲、膝関節屈曲、肩関節屈曲、肘関節屈曲、
    下腿を両手で抱えるガス抜きのポーズ(胎児のポーズ)です。全然リラックスができません。その状態からさらに腹部と大腿部に空間があるので近づけようとすると骨盤、仙骨がマットから離れて安定しません。さらに首の屈曲、額を膝に近づけるように上半身を起こす、肩が浮きバランスがとれずその日の状態により左側または右側に転がります。これは臀部と後面のあらゆる筋肉の硬さ、また、体の前面の硬さもあるのだといろいろ実験して開拓中でした。うねりの練習をして背骨のS字の曲線、背骨を滑らかに動かせることを目指しガス抜きのポーズの快感を味わいたいと思います。

  4. mayumi より:

    ウチの主人はかなりの猫背で、巻き型、骨盤後傾の姿勢。

    幼少期から姿勢が悪く背中に物差しを入れられた事もあるそうです。

    猫背を伸ばそうとしても伸びない状態で、胸椎の下半分辺りの棘突起がデコボコと出ているのが見られます、s字どころかc字の背骨。

    今回「背骨のうねり」の練習を一緒に行ってみたところ、全体の動きはぎこちなく、背骨のいくつかのグループが一緒に動いてしまうという感じで、腰においては前弯は浅く骨盤前傾の方向の可動域が極端に小さいという状態です。

    不思議なのは腰痛や肩こり知らずだという事。今後どこかで急に出てくる可能性もあるのかなぁと警戒しています。

    今まで色々と提案してきましたが、聞き流されていました。しかしこの練習を行なって自分の背骨の硬さに気がついて、姿勢を気にしている様子が見られるようになりました!今後少しずつ変化が起きる事が楽しみです。

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