気持ちを安らかに、肺を健康に〜自分でできる呼吸法

2020年、 4月。人類に大きなチャンレンジがやってきました。昨年12月に中国広東省で拡がり始めたコロナウィルスがあっという間に世界中を席捲。2020年4月8日までに87,978人の犠牲者を出しました。「対岸の火事」とみていたアメリカが今では感染者の最も多い国、という想像を絶する事態となっています。アメリカではウィルスの拡大を防ぐ為にビジネスはシャットダウン、市民は自宅待機を要請され、散歩かジョギング、買い物以外は家から出れません。日本でも今週始めに緊急事態宣言が出され、自主的に自宅に籠る住民が多くなっています。そんな中で仕事ができないので家賃が払えない、知り合いが亡くなった、毎日さまざまな恐ろしいニュースが入ってくるーと不安な気持ちになる人が多くなっています。

こんな難しい状況の中で一体どうやって平静を保てば良いのでしょう?私たちにできることはあるんだろうか?

あるんです!それは「呼吸」を変えていくことなんです。

オギャー、と生まれてくる新生児はまず息を吸い込み、人が亡くなる時の最期の息は吐く息です。その為に多くの言語で「吐く息」と「死」は同義語なのだそうです。インドや中国では古代の昔から「体内を流れるエネルギー」つまりプラナ、Chiを動かすのが呼吸であることに注目していました。日本で言う「気」です。インドでは紀元前からヨガのマスター達が、弟子に呼吸を制御し心を統一する方法を教えていたのです。

新生児は始めに息を吸い込む

現在でもあらゆるリラクゼーションのテクニックで呼吸法が使われています。たとえ生理学に詳しくなくても、吸う息と吐く息をコントロールすることでどんな効果があるかは想像できるでしょう。自分が安全で心が落ち着いている時、また仲の良い友人と一緒にいる時私たちの呼吸はゆっくりと、深くなっているでしょう。これは副交感神経が優勢となっている状態です。反対に怖い、辛い、痛い、心地が悪い状況においては呼吸は浅く、早くなるでしょうーこれは交感神経が優勢になるからです。このように呼吸は心を制御することができるパワフルなツールなのです。

呼吸に問題があると不安になりやすく、より重症になるとパニック障害を引き起こします。慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の60%以上は不安症か鬱をかかえているのです。ゆっくりとした深い呼吸法は副交感神経のひとつであるヴェガス神経の活動を促進します。ヴェガス神経は日本語では「迷走神経」と呼ばれ、発見されたのは20世紀に入ってから。日本語では「迷走神経」と呼ばれています。が、現在多くの内臓の活動を監視、管理している、人間の心身の健康に大きな役割を持った神経系と考えられているのです。ヴェガス神経が刺激されると体中が落ち着きで満ち溢れ、心臓の鼓動は遅く、血圧は下がり、筋肉はリラックスします。ヴェガス神経がこのような変化を脳に伝えると脳もリラックスし、平和な気持ちになります。

ヴェガス神経の流れ

基本的に胸式呼吸は交感神経を優勢に、腹式呼吸は副交感神経を優勢にしてくれます。まずは腹式呼吸ができているか、を確認しましょう。腹式呼吸ができるようになったら

次の呼吸法を練習してみてください。簡単です。

6カウントー息を吸う

4カウントー息を止める

8カウントー息を吐く

4カウントー息を止める

これでワンセット。何度でも繰り返してください。はじめは1日5-10分。慣れてきたら 15-20分。さらに慣れてきたらそのあとに 5-10分間の瞑想をしてみましょう。落ち着ける場所で座って行うのが理想的ですが、基本的にはいつでもどこでもできます。[今すぐに気持ちを落ち着けたい!]というときにいつでもやってみてください。そしてご自分の気持ちの変化を観察しましょう。変化が感じられたら、お子さんやご家族にも教えてあげてください。呼吸系に問題のある方、妊婦の方は息を止めるのはやめておいてください。

みなさんが安らかなお気持ちで、安全に過ごされることを心から祈っております。

 

 

7 thoughts on “気持ちを安らかに、肺を健康に〜自分でできる呼吸法

  1. Masami Cardinal より:

    ゆっくりとした、深い呼吸は副交感神経を刺激して早く浅い呼吸は交感神経を優先にさせるとあります。身体の中の内臓で自分の意思で動かしコントロール出来るのは肺しかないのでは。それなら呼吸法をする事で、落ち着けるなんて。
    呼吸法なら、運動の苦手な方でも、お年寄りでも、誰でも無理なくできますね。
    もっと色んな方にKyoko先生のこのブログを読んで頂きたいです。
    は副交感神経のひとつであるヴェガス神経の事をもっと知りたいです。

  2. Chika より:

    このコロナ禍において、身の回りでは普段ストレスを感じにくい人も体調を崩していて、私自身も不調を感じることがありました。
    ストレスによって人間はこんなにダメージを受けるのかと痛感しました。それでもヨガをしている=呼吸に意識を向けている時間があることが、心身のバランスを保つことに役立っていたと思います。
    不安な状況、様々な情報により体は防御反応で胸が閉じ肩が上がり、呼吸も浅い。
    この呼吸法は慣れるまで苦しく感じました。終わってみると吐く息が長く、腹式呼吸が深まります。養成で習った死容積、吐き切る呼吸をすることが、その後の呼吸を深く質の良いものに変えてくれることも日々実感しています。

  3. ともこ より:

    最近またコロナが増えてきて、仕事中でもイライラ、ピリピリしながら仕事をしていた様に思います。このシークエンスやってみて4カウント吸って、4カウント止めて、8カウント吐くのは息が足りなくなり8カウント吐くのは難しかったです。シークエンスの後は、呼吸が深くなり、たくさん息が入るようになった気がします。仕事の忙しさやストレスにて、ゆっくり深く呼吸をしなくなってきた様に思います。今後も腹式呼吸を意識し取り入れながら、このシークエンスを行い副交感神経を優位にさせ、ストレス緩和していきたいです。

  4. takako より:

    こんにちは

    「呼吸をみつめて呼吸を変えていく」
    とてもいい響き!です!
    呼吸は吸って吐くのか吐いて吸うのかどちらが先?
    人は生まれてくるときオギャーと言って息を吐き、亡くなるときは息をひきとる、吸う。と聞いたことがありましたが、きょうこ先生のお話しでビックリ!!
    『オギャー、と生まれてくる新生児はまず息を吸い込み、人が亡くなる時の最期の息は吐く息です。その為に多くの言語で「吐く息」と「死」は同義語』。それぞれの国の文化や風習がありますから、これはどちらが正しいとかではなく、どちらも大切ということですね。
    吸う呼吸、吐く呼吸とも…

    わたしたちはこの大切な呼吸に意識を持てない忙しい毎日を過ごしています。また、コロナの影響で在宅勤務の方は運動不足になり心身共に不調に、コロナ鬱という方も軽度〜重度の方が現実にいます。
    呼吸をみつめてリラックスする時間を作らないと…と私自身も常に思ってます。
    呼吸について勉強して今回はじめて「死容積」と「べガス神経」の存在を知りました(・・;)
    死容積をなくすこと、迷走神経活性化のためには
    ヨガ、マッサージ、瞑想が有効、ともに呼吸が大事!!
    生活の中に複式呼吸を習慣にし
    ヨガのポーズでは逆転のポーズをとり
    身体の中をいつも新鮮な酸素で満たし
    身体の中のいらいものはすべてはきだす、
    気、血、水の巡りをよくして心身共にすこやかに過ごせることは間違いありません。
    複式呼吸で横隔膜を意識して行うととてもリラックスしました。
    歯を磨くことのように、
    呼吸をみつめることも習慣にして
    リラックスする時間を1日の中にとりいれて
    幸せ度アップ⤴︎していきます♡

  5. Hiroko Sawaguchi より:

    呼吸法は素晴らしいと思います。こちらのシークエンスを実践しました。5分が私にはちょうどいいですが、20分できたらだいぶ心身が変化しそうです。
    私はどの呼吸法をしても基本的に眠くなります。以前はそれがいけないこと(スタジオでの練習のときなど)と思っていたのですが
    安眠効果を感じリラックスできる呼吸法は素晴らしと思います。
    日頃から呼吸法を実践して肺を大きく広げ健康的な生活を送りたいと思います。
    呼吸法で変化できるのは感情もあると私は思っています
    職場で苦手な上司と話すとき、感情的な言葉をかけられてこちらも気持ちが揺さぶられるとき
    意識的に吐く息を多く吐くようにしてその場を切り抜けることがあります。
    呼吸法は万能で素晴らしいと思います

  6. Enatsu より:

    肺とストレスが関係していることは、自分自身の回りでも多々思いあたります。
    スポーツ競技で過呼吸になる子ども、おしゃべりしていて、一度咳込むと止まらなくなってしまう人、思い出すと自分も朝の全校朝礼の時に限って、何故か咳が止まらなくなったりしたものでした。こちらを読めば何故なのか…?説明できるようになりますね。
    ストレスが病気につながる可能性は高いと思っています。皆が健康のために呼吸法をすると良いとあらためてわかりました。肺を健康にすること。呼吸法なら老若男女ができます。
    私もやってみました。日によって、また時間帯なのか、すっと入っていける時と、何となく息苦しい時があります。苦しい時は、カウントを減らして入っていくとやりやすいです。呼吸法のあとは、ほっとした感覚、安心感があります。
    深い呼吸で、副交感神経のひとつであるヴェガス神経が刺激されることで、身心の落ち着きが訪れ、リラックスできる…理解できるようひとつすつ勉強していきます。

  7. アキ より:

    肺は自分でコントロールできる唯一の臓器で、その唯一私たちに与えられている臓器のコントロールがココロに働きかけるキーだと思うと、人体のつくりにいつも感動します。吸って、吐いて、止める呼吸法に集中していくと、いつしか呼吸と意識が一体になって、無意識の呼吸がとても穏やかになつている時、内側に本当の静けさを感じます。いつでも静かな内側のスペースに連れて行ってくれる呼吸はどこでもドアだと思います。

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